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第一の侵入者
はぁはぁ。 この館には、財宝があるに違いない。 だからそんな噂があるのだ。 あんなのはただの作り話さ。 わしは、財宝のある館に向かっていた。 ここにはまことしやかに噂がある。 それはただの嘘っぱちだ。 きっとここには財宝が隠してあって、人よけにあんな嘘が飛び交っているのだろう。 わしはそれを確かめるために屋敷へと来た。 屋敷の扉を押し開けるとすぐに扉は開いた。 暗いホームが恐さを感じる。 わしは、懐中電灯のスイッチを入れ奥へと向かった。 カツン。カツン。 廊下を歩くとその音は不気味に響き渡る。 誰も居ないはずの屋敷なのにそんなにすさんでいない。 間違いない。ここには財宝がある。 わしはある程度廊下を進んだ後、やっと一つの部屋の扉に辿りついた。 その部屋の扉を開けた。 ぎぃぃぃぃバタン。 軋んだかと思えば閉まるときは早い。 わしはあまり気にせずに部屋を物色する。 部屋の広さは自分の家の土地の広さくらいあるのではと思うほど広かった。 ビリヤード台が数台。他にはダーツ。そして鎧。 ここには何も無いかな? そう思い扉の方へ向かった。 カタ 何か音が後ろから聞こえた気がした。 振り向いたときにはすでに人影がわしを切りつけてきた。 すぐに動いたつもりだったが痛みは肩から全身に伝わり叫び声が・・・・・ 気付けば、首からピーピーと空気の漏れる音がする。 その人影はなおも切りつけてきた。 噂は・・・・・本当だったんだ。 運命(さだめ)それは人によって異なる。 その運命が私には正しいのだと思う。 私の運命はただ、この館の侵入者を殺すこと。 それが、私の運命だから・・・・。 私は館を徘徊する事はしない。 私の居場所は常に決まっていた。 それは、屋根裏。 ここから侵入者の監視も兼ねて見渡せる場所。 そして唯一私の憩いの場。 私はさっきのおじさんの血がべっとりと付いた斧を見る。 私はその斧を無造作にバケツに突っ込んだ。 血は水に溶け込み徐々にバケツの水は真っ赤に染まる。 その血を見ながら私は時を忘れたように立ちすくんでいた。 ギィィィィィィィィ 門の音が聞こえる。 私はハッと我に返り門から入って来た侵入者を見る。 女だ。 それもおばさん。さっきのおじさんとの知り合いだろうか? 私は行動を起こした。 そう、おばさんを殺すために・・・・。 屋根裏から出て下へと落ちていく。 一階と二階の間の棒に捕まり勢いを殺して私は一階へと降りた。 さっきのおばさんの居場所は? 音を殺しおばさんの気配を辿る。 足音が聞こえる。そう遠くないでも、それは1階からではなく二階からのものだった。 私は軋む階段を上りおばさんの所へと向かった。 2階の廊下を進む事におばさんの気配はすぐに迫ってきた。 「だ、誰?」 私の気配に感じたのかおばさんをそう言い放った。 声は上擦りながら 「あ、貴方なの?ど、どうなの?こ、答えて!!」 最後は懇願な言葉へと変わっていた。 おばさんは、その場から動こうとしない。 と言うよりも動けないのかも知れない。 「わ、私は、夫を探しているだけで・・・夫が見つかればか、帰りますから」 震えがピークを脱して涙へと変わっていく。 「お、お願いします。」 その瞬間におばさんは崩れ落ちた。 私は斧を振り上げた。 おばさんはそれを見上げた。 ザシュ!!ゴト。 首が落ち、首からは大量の血飛沫が噴水のように上がる。 私はその場で血飛沫を浴びるように立ちすくんでいた。 これが、私の役目だから・・・・。 NEXT>>