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エンディング
救急隊員は的確の処置をして救急車へと運んで行った。 「かっちゃん。俺はついて行けないけど・・これ」 そう言ってまっちゃんは、車の鍵を渡した。 「気をつけろよ。」 そう言って肩にポンと手を置き救急車へと入って行った。 救急車は病院へと走っていった。 俺はそれを見送り車へと向かった。 ここから御園港の第二倉庫までは早くても30分……ギリギリか。 俺は車を走らせ御園港へと向かった。 携帯を取り出し、高波に電話をした。 「お、どうした?」 そっけない。 「岸の居場所が分かった。」 「なに!!本当か!!」 「今御園港の第二倉庫へと向かっている。」 「向かって…待って!!応援をよこすからその場所で落ち合おう!」 「ダメだ。・……とにかく応援を宜しく」 「ちょ・・」 後の言葉を聞かずに携帯の電源を落とした。 車は順調に進み時間的に空いていたおかげでどうにか着き第二倉庫へと走った。 ガラ 重い扉を開け中に入ると美穂が釣り下がっていた。 「み、美穂?」 「やっと来たか?思ったより遅かったな」 「この場所が分かりにくかったから…」 「ふん、まあいいだろう。」 「俺が着たんだ。彼女は関係ないだろう?」 「そうだな。」 そう言って岸は、銃を取り出しあろうことか美穂に銃口を向ける。 「は?」 思わずまぬけな声を上げてしまった。 すると銃声が鳴り美穂の釣り下げていた紐に命中し美穂は重力に沿って落ちていく。 俺は慌てて美穂の落下地点に走る。 銃声が後ろから聞こえた。 肩に激痛が走る。ちょうど倒れた場所が美穂の落下地点で美穂に潰される。 「ゲフ」 美穂はそれでも起きない。 何かを嗅がされているのか? 俺はぎこちない動きで這い出た。 「ふ、いいざまだな」 いつの間にか岸が近くに立っていた。 「かっこ悪いっすよ」 たはははと笑いながら立ち上がる。 「俺が手を下さなくとも貴様はどうせ落ちるがな」 「じゃあ、手を汚さなくても…」 手を上げろと銃で即され両手が挙げられず片手だけ上げた。 「何故片手を上げない?」 「肩が痛くて…」 「言い逃れか?」 「そうとも言う!」 俺はそのとき岸の銃を持つ手をなぎ払い銃を手に持ち岸に銃口を向けた。 「もう逃げられないぞ!」 「ふ、銃を持つと強気になるのか?」 岸が一歩踏み出すと俺は一歩後退した。 ・……これはどこかで? ハアハアハア 顔から油汗が噴出す。 「どうした?撃てるものなら撃ってみな!」 俺の手の中にある拳銃は俺の手の汗で今にも滑り落ちそうになる。 「く、来るな!それ以上来ると撃つぞ!」 声が上ずっているのが自分でも良く分かる。 これは、夢?あれは正夢になったのか? 肩の痛みは次第に麻痺するがだんだんだるさを感じる。 岸が一歩近付くと俺は一歩下がるを繰り返した。 あの後・・…壁にぶつかり・…俺は撃つのか? 一歩また一歩と近付く、そしてついに俺の背は壁にぶつかった。 「来るな!本当に撃つからな!」 「ふん、撃てるわけ・・・・・・」 バン! 部屋中に銃声の音が響く。 「どこを狙っている!」 俺は、岸を撃つことが出来なかった。天井に向かって銃口を向け今に至っている。 岸は俺の首に手を沿え首を絞める。 「お前には味な苦しみだろう?」 「あ・…うぁ・…」 さっきまで立っているのもやっとだった俺は岸の手の中で死に掛けている。 俺がここで死んだら美穂はどうなる? バンバンと大きな音が鳴った。 「警察だ!手を上げろ」 俺の首にあった岸の手が静かに上がって行き俺は、大量の酸素に思わず咳き込んだ。 「大丈夫か!!」 高波の声だ。咳き込んで声になかなかならなかった。 岸は中央にゆっくりと歩いて行っていた。 その手には銃が握られていた。 「銃を置き投降しろ!」 岸は笑い出し俺に銃口を向けた。 岸が引き金を引く瞬間に岸は撃たれた。 俺はそこで愕然としながらも倒れた。 気付けばそこは病院だった。 「お、起きたか?」 「????は?なんで?」 そこには当たり前のように高波が座っていた。 「結城の推測はかなり当たるの〜」 「それはいいけどここに何しに?」 「一応、報酬は来月の頭に支払いがある。」 「うん?解決したのか?」 「ああ、岸の根城と思われる場所に密輸ルートがあってそれで一応解決の目星が付いたわけだ。」 「はぁ〜」 「なんだ?何か不満があるのか?」 「不満って言うよりは…なんか引っかかるんだけど…」 「まあ、無駄な経費は避けたいって言うのが現実なところだろうな。」 「だろうね〜」 俺はゆっくりとベットの上に座った。 「ところでだ、あの手帳はどうした?」 「手帳?」 「最初に渡した手帳だ!」 「あ!え?マンションに無かった?」 「無かったから聞いているんだが?」 「・・……さぁ〜?」 「さぁ?とは何事だ!!」 「分からないから・…仕方が無い」 「まったくお前は何のために渡したと思っているんだ!」 「そうカッカしてると血圧が上がるよ!」 「上げているのは誰だ!!」 ガラ 「おっと、お取り込み中だった?」 そう言いながら結城が去って行こうとしていた。 高波に怒られてばかりの俺の救いを今逃がしては! 「待って!結城!!」 「何?かっちゃん?」 ピリピリと鳴り高波が電話に出て「今から向かう。」と言うと電話を切り俺達に顔を向け、 「急用が入ったちょっと行ってくる」 「わかった〜いってらっしゃい!」 楽しそうに俺が言うと高波がドアを出たのにまた戻って来て 「説教がまだ終わってないからすぐに戻るからな」 と捨て台詞を残して去っていった。 「また怒らせたの?」 「大事なものを無くして・…どうしたらいいんでしょう?先生?」 「う〜ん、そうだな〜まずは頭を切りましょう」 「はぁ?それで治るんですか?」 「頭を切ってから考えます。」 「もう少し早めにわかりませんか?」 「どうせ、仕事が終わったんだから休みだしゆっくり検討を…」 「現実味帯び過ぎて恐いんっすけど…」 「まあ、そうするにはまずは外科に行かないとな〜」 「はぁ?結城って何科?」 「内科・・…だけど…やっぱり外科に行きたくて移動願い出し中」 「いいよ、なんか外科の結城を見ると楽しんでそうで…」 「え〜前は外科だったよ〜。人員が足りないときは応援にも行くし…」 「うは!コワ!!」 「恐くないよ〜さ〜手術室が空いてたらやってあげよう」 楽しそうに言う結城に思わずベットにしがみつき 「やだ〜〜〜先生こわ〜い」 と駄々をこねてみた。 「勝也」 !!!美穂の声に吃驚して顔を上げた。 「・・…そ、そんな…」 何かを誤解しているような感じだった。 「美穂・…何か勘違いをしていないか?」 「お邪魔だったよね?」 「え?違う!!何を勘違いしているんだ!!!ってか結城もなんか言え!!」 「美穂ちゃん…ごめんね。」 何を言い出すんだこいつは!!! 「美穂!!!」 結城の言葉を鵜呑みにして美穂は駆け出して行った。 結城はその横で笑っている。 「お前!!」 「あ!回診の時間だから!じゃ〜ね〜」 「待って!逃げるな結城!!」 結城は軽やかに去っていった。 ど、どうすれば???? 俺は点滴を転がしながら美穂を追いかけた。 病院の玄関には美穂を見つけられなかった。 どこに行ったんだ? 「森山さん!何をしているんですか!!」 看護師に見つかり俺は慌てて駆け出す。 点滴に脚を取られ倒れた。 「もう、何をやっているんですか!!」 よく見れば、かやちゃんと呼ばれていた子だった。 かやちゃんが俺を起こしてくれた。点滴のチェックをすると 「あまり出歩かないでくださいよ!」 そう念を押しながら病室へと連行されいた。 病室の前には美穂が立っていた。 「美穂!」 美穂は俺の声を聞いて逃げ出そうとしたので俺は思わず美穂の腕を掴もうとすると点滴が倒れた。 点滴を指している方で掴もうとしたからだ。 「きゃ!大変待っててください。」 かやちゃんは慌てて駆けていった。 美穂と俺はお互いに顔を見合わせて笑った。 「あのね。時計…」 「時計?」 そういえば美穂に貰った時計は? 俺は私物が入っているはずの棚を見た。 「あ!ここにあるの…」 美穂の手には文字盤のガラスが割れた無残な時計を持っていた。 「あ・…え?なんで?」 「結城君から聞いたわ。この時計が勝也の命を救ったって」 ・・…何を言ったんだ?あいつは!! 多分壊れ方からして岸の銃を奪うときに壊れたんだろうが・… 「この時計が守ってくれたんだろうね。」 ……美穂・・…結城にだまされている!! だが、美穂に本当のことを言うのもどうかと思うし何よりこっちの方がなんとなく奇麗事に出来る。 結城の悪戯に賛同しようではないか!! それはいいがなんか眠いぞ? 「か、勝也!!」 美穂の目線の先には俺の腕があって・…そこから何故か大量の血が・… 俺は目を回すように倒れた。 「勝也!!」と叫ぶ美穂の声を子守唄にしながら・・… <<BACK