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エピローグ
お腹が鳴る音で目が覚めた。
腹が減ったな〜。
ムクっと起き上がると辺りは暗い。
何時だ?
時計を見ると19時とデジタル時計が時間を告げていた。
ありゃ?光を見らずに一日過ごしてしまった。
俺は着替えを済ませて外に出て近くの喫茶店へと入る。
「いらっしゃ・…勝也?やっと起きたの?」
「はい、たった今起きました。」
ちょっと嫌そうに話かけてきた美穂にちょっと腰を低く答えた。
「もう仕事かと思って何も用意してないのよ〜レトルトのカレーしかないよ?」
「食べれればなんでもいいです。」
「じゃあ、ちょっと待ってて」
そう言って奥へと足早に去って行った。
店には数人の客が座ってそれぞれのテーブルにはコーヒーが・…あれ?
普通ならコーヒーが置かれる場所が今日は何故かマグカップが置かれちょっとしたつまみになる皿が置かれている。
今日はおばさんが居ないのかな?
「はい。お待ちどう。」
「は、早いね。」
「今はレンジでカレーが出来るから」
なんだかCMをしているノリである。
カレーを一口スプーンで運び食べる。
「どう?」
「美穂が作ってないのに聞くの?」
「だって気になるじゃん!!美味しくなかったら買わないようにしないといけないし」
「美味しいよ。美穂の作ったカレーにはかなわないけど…」
「またまた〜」
・・…おばさんが入って来てないか?
カランカラン
「いらっしゃいませ〜」
全身黒ずくめのいかにも怪しげな男が入ってきた。
美穂は応対のためカウンターから出てテーブルの男に近付いた。
「ご注文がお決まりでしょうか?」
美穂の軽やかな声が聞こえる。
俺はカレーを二口三口と運び食べていた。
カランカラン
と再び鳴った。
扉に目をやるとさっきの男の後ろ姿だった。
冷やかしか?
ふとさっきから美穂が帰って来ない。
美穂はさっきの男が居たテーブルにまだ立ったままだった。
と思うとひざを折り倒れた。
「美穂?」
俺は嫌な予感が脳裏をよぎった。
美穂を抱き上げると美穂の腹部から大量の血があふれていた。
「誰か!救急車!!」
俺は近くの客に向かって叫んだ。
客も何が起こったかよく分からない感じで携帯を取り出すのを見て俺は美穂の腹部を出来るだけ圧迫していた。
美穂は無事救急車に乗った。
ちょうど帰って来たおばさんが付きそうことになり俺は事件の説明のため店に残る事になった。
「で、貴方があそこでカレーを食べていたと?」
「そうです。」
「その男の顔は分かりますか?」
「それは・…分かりません。サングラスをしていたので・…」
「なるほどね〜」
警官は俺の顔を見ながら微妙に怪しいなこいつと言う目で見る。
そんなに変な顔しているかな?
窓ガラスがちょうど鏡みたいに微妙に自分の顔を見て髪型を整えようと手を上げると手が血まみれだった。
よく見れば自分の服も・…美穂大丈夫なのか?
美穂の手料理で無かったから罰が当たったのか?
美穂〜〜戻って来い!!ってか俺の方が悔いが残る!!
「森山さん!」
急に呼ばれて俺は我に返った。
「は、はい?」
「また改めて署に来て貰うかも知れませんがとりあえず現場検証の方が終わりましたので」
「あ、はい。わかりました。」
「何か思い出したことがあれば遠慮なくお電話してください。」
そう言って男から名刺を受け取った。
名前は辰己浅史と書いてあった。
辰年?などと思いながら警官達が去って行くの見送った。
店の看板を直し取り合えず店の鍵もかける。
店の閉店を知っててよかったなどと考えながら・…
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