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第七捜査 葬儀
コンコン 「高波だが入るぞ」 高波が入ってきた。その手には礼服を持っていた。 「これとこれに着替えるんだが・…大丈夫か?」 いつまでも泣いてはいられない。 俺は着替えて高波さんが押してくれる車椅子に乗った。 「結城は?」 「急患が入ったらしいぞ」 「そうか」 俺達は車に乗り、葬議場へと向かった。 美穂を見るに耐えなくて俺は葬儀を外で居るしかなかった。 「かっちゃん。」 この声は!? 振り仰いだ先に、まっちゃんの姿を見たと同時に俺は掴みかかろうと・… 「くっ・…」 傷口がそれをさせてはくれなかった。 「貴様・…ここに何しに来た!」 「葬式だ、弔いに来ること意外に何かあるかい?」 「お前には弔って貰いたい訳が無いだろう」 「そう言うと思ったよ。」 まっちゃんは、俺に背を向けて帰ろうとした。 「そうだ、一つだけ言っておこう。君が俺を脅かす存在になれば消すよ!」 それは、挑戦にも聞こえた。 「待て!お前はどうして由里さんを・…」 「お前には関係ない」 その目は、ただならない状態だった。 何かあるのか?由里の死に? 「まっちゃん!」問いかけようにも触れてはならぬものに触れたのか振り返らずに去っていった。 「かっちゃん?」 同じ呼び名だがどこか違う発音の結城が横できょとんとしていた。 「あ・…結城か…」 「な〜んでがっかりしてるの?」 「美穂ちゃんの所に居なくてもいいの?」 「辛くなるだけだし・…」 口をつぐんでしまう。 「美穂ちゃんはかっちゃんに会いたいと思うよ。」 「・…」 「最後じゃないさ。これからも美穂ちゃんはかっちゃんのこと…」 「・・………美穂はいつまでも居るんだと思っていた。」 「うん。」 「こんなの・…」 俺は、結城の腕で泣いた。今は亡き美穂を思い。 「森山!お前どこに居たんだ!!」 「わりぃ〜」 「まったく・…美穂ちゃんは行ったぞ?」 「分かってる…」 「結城!お前が居てそれか!」 「高波さん声がでかいよ」 こそこそ話しているつもりなのに高波は声が上がる。 「高波さん、話があるんだけど…」 「ああ、お前はあの仕事下りるんだろう?」 「いや、その逆で続けるよ」 「な!!お前は今の状態を分かっているのか?」 「分かっているからこそだ!」 少しの間、高波は俺の思惑を探る。 「仕方ない。お前がそう言うなら…だが!」 「分かっているよ。危険なことはしない」 厳密に言うと危険なことをしているんだけど…。 「一つ条件だが…きちんと退院してからだ!」 「はぁ〜い。」 「宜しく、森山さん☆」 少し楽しげに結城が答える。 <<BACK