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第二の殺人 大量殺人
その日は、夜中にのどが渇いた。
そんなときに限って飲み物が無かったので、外の自販で買った。
ドサ
何かが倒れる音が聞こえた。
私は音のした方へ行くとそこには、倒れこんだサラリーマンと
目の前に立っている・・・・・・・・ひー君?
振り返ったひー君の手には、包丁が握られていた。
倒れこんだサラリーマンの体から液体が地面を伝っていた。
あれは・・・・血?
気付けば、私は、走って部屋に向かっていた。
ひー君が何故?
頭によぎる疑問と包丁の煌めきが頭の中で交互に浮かぶ。
コンコン、
ドアを叩く音が響く。
「美弥?居るんだろう?」
荒い息が途絶え途絶えになり、唾を飲み込む音が聞こえる。
・・・・バレた?
「なんだ居ないのか・・・」
そう言って、下に降りる音が聞こえた。
ホっと胸を撫で下ろした。
気付けば、買ったはずのジュースが無いことに気が付いた。
せっかく買ったんだし・・・それに、もうひー君も帰ったと思うし・・・
そっとドアを開け辺りを見回して、深いため息をついたその時!!
口を塞がれ、もがいていた時に
グサ
鈍い音が聞こえた。
そして、徐々に背中が熱くなる。
だんだん、目に涙が込み上げる。
ひー君の「ごめんな」が辛うじて聞こえる。
そんな中で、胃の中の何かが込み上げ・・・・・・・咳き込む。
ひー君の手から滴り落ちる何か・・・・これは何?
薄れ行く意識の中、ひー君の声が遠くに聞こえた。
ポクポクポク
木魚の音が辺りを満たしていく。
その合間合間に流れるお経。
・・・・美弥、お前を手に掛ける気は無かった。
手を合わせそう思い描く。
美弥の写真は、オレが撮った写真だった。
美弥自身が凄く気に入っていると言っては、部屋に飾っていたものだ。
こんな形で、この写真が使われてしまうとは思ってもみなかった。
「・・・・弘樹さんですね。」
急に自分の名前を呼ばれて振り仰いだ。
名前を呼んだ男は、警察手帳を見せ同行を仰いだ。
オレは、断る理由が思いつかずに同行した。
小さな取調室に通され、警察官が言っては、また次の警察官と・・・を繰り返していく。
最初は、興味本位もあったが、毎度毎度同じことを聞かれては答える作業は、
至極疲れる。
「あなたは、本当に犯人を見ていないのですね?」
この問いに何度答えたことだろう。
「見てない」と答えると極端に大きな声で怒鳴りつける。
「お前が犯人じゃないのか?」
こんなのを殆ど毎日のように聞いていたら、無罪だろうが
自分が犯人と思ってしまうに違いない。
まあ、自分が犯人だから、別にこんな尋問に屈指はしないが・・・。
ただ問題は、凶器の回収が出来てないことだ。
いつもなら、凶器・・・包丁を持って帰るが今回ばかりは、
美弥と共に居た為に、包丁の回収をするわけにはいかなかったからだ。
もちろん、それについても問いかけられたが、「知らない」と一方的にした。
・・・・どうやって、取り返すべきか?
そう考えていると、美弥のおじさんが「最後に美弥に会って欲しい」ということで、
一時的という形で、釈放された。
帰る道の廊下の所で、警官が話している言葉に興味深いのがあった。
凶器は、保管室に直した。ということだ。
保管室の場所は、取調室のすぐ近くだったので、場所は分かる。
オレは、今夜、保管室に忍び込んで包丁を取り返すことにした。
美弥と最後の別れを告げた。
もう、この町には居られないと言うこと、美弥を愛していたこと。
でも、美弥を「幸せ」でなく「不幸」にした。
オレは、美弥に仇として返してしまったこと。
そんなことをつらつら美弥の写真の前で考えていた。
気付けば、おじさんたちは、寝ていた。
夜中の3時だ。
そろそろ決行しなくては・・・
警察署に再度やってきた。
取調べ中に使っていたトイレの窓を開けておいたところから入った。
保管室の扉に手をかけると運良く開いていた。
保管室の中に入り、目当てのものを探す。
思った以上に見つからずごそごそとやっていると
「誰だ!!」
後ろから声が聞こえた。
手にナイフの感触がある。
シュン
ナイフは、風を切り警官の首筋に刺さった。
ドタ〜〜〜ン
その勢いに負けた警官が後ろに倒れた。
その音であわただしくなる警察署。
見つけた包丁で見つかった警官をめった刺しにした。
あるものは、首。あるものは、腹。
全部致命傷だ。生きてるとオレの顔が割れる。
警察署の廊下は、警官たちの血や死体で無残な状態だった。
そして、オレは警察署を後にした。
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