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5プレイ ピンチ
カジノのネオンに誘われ、今日も一攫千金を求めてやってくる。
僕は、そんな夢の舞台のディーラーをしている。
僕のテーブルでは、複数のプレイヤーが賑やかに話をしながら、
時には真剣な眼差しで取り組むもの。多数居た。
僕は、そんな中坦々とプレイヤーにカードを配ったり
チップを払ったり回収したりしている。
ふぅ〜今日は、先輩が休みだけど、何事も無く終わりそうです。
「ダブルダウン(一枚だけしか引けないが賭けたチップを倍に出来る。)」
!!!???
そ、そういえば、この人・・・・。さっきからこればかりだ・・・。
カードを配る。
そうしているうちに、この人は勝っている。
き、気のせいかな?どっかで見たことあるような〜。
夜が更けるごとに客足が去っていく中・・・・
気付けばこの人の隣の席はチップが積み上がっている。
ど、どうしよう・・・・。
そうだ!先輩!!・・・・・・って、今日休みだった〜〜〜。
困った〜。
僕はその間もプレイヤーにカードを配る。
「一対一ならいい方法があるんだが・・・・乗らないか?」
「はい?」
な、何を言い出すかと思ったら・・・
方法ってブラックジャックにどんな方法があるって言うんだろう?
「やり方は簡単だ。まず普通どおりカードを配るが一枚は伏せておく。
プレイヤー側もだ。そして、数はAを1として、Kなどは、13という風に計算する。
そして、下一桁の数を競う。
たとえば、KとAなら13と1と計算し、14になる。
すると4で競う。ただし、最高は11と計算する。なにか質問は?」
「え、は、は〜」
な、何考えてるのか良くわからないけど、やり方なら分かってきたぞ。
「賭け方は、三種類ある。ディーラーからカードを開けて、
プレイヤーのカードがディーラーのカードに対して大きいか小さいかそして、同じかだ。
大きいと小さいは、賭けチップは倍に、そして、同じは三倍に・・・わかったか?」
こっくんと思わず頷いてしまった。
ドスの効いた声に思いのほかビビっていたのかもしれない。
僕は、言われたとおりにカードを配った。
「セイム(英:同じ)」
僕は、自分のカードを捲った。
6と7で、13・・・・・3か。
相手は〜3か〜同じなわけが・・・・・
そんなことを思っていたら・・・・相手のカードが捲られた。
10!!!えって〜と・・・3!!
僕は、プレイヤーの賭けチップを三倍支払った。
どれくらい経っただろう?テーブルの上にはかなりのチップが置かれて
なおかつ人の壁が出来ていた。
そして、その状態で僕は思い出して行った。
このプレイヤーは、先輩が人の壁を作るまでになったあの戦いのプレイヤーだ。
確か名前は・・・・ウィザードとかなんとか・・・はぅ〜〜〜せんぱ〜〜〜〜い!!!
ど、どうしよう。このままじゃあ、この店の金が全部取られちゃう〜〜〜。
僕は、足元がガクガクと震えてきた。
ふと相手の目線に気付いた。
それがちょうど僕が配り終えた自分のカードの上に手を置いた状態だった。
この人もしかしたら・・・・・
「ど、どうしたんですか?お賭けになられたらどうですか?さっきと同じ全額で」
僕は、力の限り強がりを言った。少しばかり震えが声にあった気がしたが・・・
「くっ・・・・・ぜ、全額だ」
これまでとは、違った態度を取る。もしかして、僕の考えは正しいのか?
僕は、自分のカードを即座に捲り相手のカードが捲られるのをじっと見た。
僕の考えが正しければ、カードに何かを付けられていたのだろう。
僕のカードを見た後に何らかの方法でカードを用意しておき、
僕が捲るときに集中する視線の中堂々とカードを変えて何食わぬ顔でカードを捲る。
だから、今初めてカードを見てしかも変える暇はなかった。
だから奴のカードは、そのままのはずだ。
僕が配ったそのままのカードを・・・
そして、捲られたカードは、僕と違う数になり、奴はそのまま去って行った。
僕は、思わず腰が抜けてその場に座り込んだ。
や、やりましたよ。先輩。
カジノの明かりが消えかける。一攫千金の人が現る度に、
店が潰れかけることを覚えててください。
そして、今日の事で僕がとんでもない事態になっていくことを
この時僕は、全然知る由もなかった―――――――。
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