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第九捜査 副作用
廃墟ビルに入るとすぐに峰志が現れた。
「おはよう御座います。」
「その顔だと、夜は、迷惑をかけたか?」
「いや〜、あんなに峰志さんが酒に・…」
口を塞がれ、耳打ちする。
「あれは・…忘れてくれ」
そう言って口から手を離してくれた。
峰志の二日酔いが無いのが不思議だった。呆然と立ち尽くしてそんなことを思っていた。
そういえば、カレンダー・…。
「君、そこで立たれると邪魔なのだが・…」
この声の主は?
振り返るとそこには岸が立っていた。
「これが、例の物だ。」
通りすがりにポケットに入れられた。
ポケットに手を入れると印鑑らしい感触がする。
やるしかないってことか。
「ふぅぅ〜」
大きく息をつきその辺りの部屋に入る。
ちょっとかび臭い。埃の部屋だった。
出直すか…ドアに向かおうとしたとき、カタと部屋から音が聞こえた。
音の鳴った方へ向きなおすと・…
男が目の前で何かを振りかぶっていた。
ドアを後ろ手で開け転がるようにして廊下に飛び出た。
物凄い形相で廊下に出てきた。
あれ?この顔・…。
「どうした!!」
あまりに凄い音だったようで、峰志やらが駆けつけた。
「あいつを縛りつけておけと言っておいただろうが!!」
「すいやせん。」
そそくさと峰志に言われて行動する男が二人。
峰志が俺に近付いてきた。
「大丈夫か?」
「は、はい。吃驚して腰が抜けましたけど・…」
嘘ではない。それにしてもあの顔・…垣根?
「さっきの人・…」
「ああ、お前も知ってるだろ?垣根だ。
あいつの薬のせいでああなった。
一応あれでも生きてる。抜かすまでが大変だがな。」
・…意外な言葉を聞いた気がした。
峰志はそのあと踵を返して去って行った。
・…置いてゆくの?
抜けた腰が回復するまでそこにいるハメになるかと思うと急に声を掛けられた。
「そこで何をしている?」
何故かそこには岸が立っていた。
岸は親切に手を・・・・って思って手を出したが結局手を出さなかったので俺は座り込んだまま答えることにした。
「腰が抜けました。」
「・・・・そうか。一つ言い忘れた事があって来たんだ。」
「言い忘れたこと?」
岸は周りを見渡した後誰もいないと察して俺の耳の傍で「病院に行け」と告げるとそそくさと去って行った。
どういうことかと問いかけようにも腰が抜けた今の俺には何も出来なかった。
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