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第十捜査 病院
ようやく腰の抜けもしゃんとし、とでも言うのであろうか?
とにかく立ち上がる事が出来た。
そして何気なくポケットに手をやると判子ともう一つ・・・袋・・・。少し取り出すとどうやら薬のようだった。
これは・・・・もしかしたら・・・・。
俺は、岸に言われた通りに病院に行って見ることにした。
病院・・・・昔からすると苦手度は減った気がするが・・・・まだ苦手だ。
俺は、知り合いの医師を適当に探すがそう簡単に見つかるような小さな病院ではない。
どちらかと言うとデカイ。デカイからいいって思えないし、かと言って小さ過ぎても〜。
「あの〜、外来ですか?それとも見舞い客ですか?」
入り口の辺りでぼーとして居たので、受付の人が声をかけて来た。
「あ、え〜と、結城・・・せ、先生いますか?」
「何科の結城でしょうか?」
何科・・・・・。どこだっけ?
腕組して悩んでいると、
「あれ?かっちゃんじゃん!」
この声は・・・結城!
振り返ると思った通り結城が立っていた。
「この人は僕に用があるみたいだから、あ、診察室何処が空いてる?」
「今は、三号室が空いていますね。」
「ありがとう。」
そう受付に行って指でこっちと俺に指図したので俺は従うことにした。
受付の子達が黄色い歓声を出した事は気付かないことにしておこう。
三号室と書いた診察室に入ると結城は医者の専用席に座り、俺は渋々患者用の椅子に座る。
「う〜ん、何処が悪いのですか?」
聴診器を耳に当てて服を着ているのにも関わらず服越しに聴診器を当てる。
「頭」
「う〜ん、それは治せないね〜。攻めて顔だね〜」
「いつか、殺す!」
俺に一瞥をくれた後、結城から話を切り出した。
「で、どうかしたの?」
「なに?もう冗談終わり?」
「な〜に〜、頭切るよ!」
「切る?結城って外科だっけ?」
「最初は外科だったからやれなくもないよ〜」
「今は?」
「秘密☆」
「無免だ〜」
「無免とは失敬な〜、お前漫画の読み過ぎ!」
「俺はテレビっ子だもん♪」
「じゃあ、アニメの見過ぎ・・・」
「う・・・・」
「まあ、大人にもなって〜」
「うっさいな〜いいだろう別に・・・」
「迷惑をかけないようにするんだよ。」
「うん。」
「じゃあ、診察ジョーク終わり!で、何?一応俺忙しい身だからね〜」
「実は〜。俺癌なんです。」
「が〜ん!!ってもう!!忙しいって言ってるっしょ!!」
「だって、そんな風に見えないんだもん」
ちょっとブー垂れてみた。
「医者は忙しさを隠してそりゃ〜患者さんを癒してますから」
「癒されな〜い」
「マジで?」
「いや、嘘!」
言っていい事と悪い事があるようで微妙に本気に取る結城は単純だ。
「うんじゃあ、そろそろ本題ね。」
俺は、そう言ってさっき岸から貰った薬を取り出した。
「この薬の成分を調べて欲しい。」
結城が袋を破ろうとしていたので俺は慌ててそれを止めた。
結城が不思議な顔をしていた。
「これは、どうやら空気感染するらしいからここでは開けるな!」
「空気感染?ウィルスじゃあるまいし・・・興味あるね〜で、これを届けるくらいならかっちゃんがここまで来ないよな?」
「察しの通り、俺は少しだとは思うけどこれを吸ったかも知れない」
「かっちゃん・・・今日何か食べた?」
「それがまだ何も食べてないから腹減って・・・」
俺は腹を擦りながら結城の顔を見ると思わず言葉が詰まった。
と言うのも結城の顔は俺の言葉に満面の笑みをしたからだ。
嫌な予感・・・・俺はその場から離れようと思うとどこからともなく看護士が仁王立ちして待っていた。
「森山勝也さん。人間ドックで〜す☆」
「はい。先生」
看護士は俺の両端でスピーカー効果を出しながら俺を抱えて強制的に向かう羽目になった。
おのれ〜結城〜〜〜〜。
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