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第十一捜査 幽霊
検査は恥ずかしくも終わった。
あれまでしなくても・・・まあ、とにかく結果も含めて一時入院を強制された。
看護士が微妙に困惑の色を見せながらも病室に案内された。
相部屋かな?って思ったら思ったほど狭い部屋。個室って訳ではないらしく二つのベットが並べられていた。
「シーツは変えていますから・・・何かあったら・・・・・いえ〜。お大事に〜」
・・・・意味深だ。
夜も更けていたせいで暗い病室。
俺は、一息ついてベットに寝転んでいたら消灯らしく電気が一気に落とされた。
何か言って落とされると思っていた俺は慌てて身支度をしようと思って荷物を探ろうとすると・・・
ギィ。
・・・・・・誰も居なかったベットの方から音が鳴る。
少し固まったままその場を動かなかった。
ギィ。
また、鳴った。
この音はベットの音?俺は動いていなし・・・でも、俺が動いたとしても聞こえる場所が可笑しい。
ギィギィ・・・・パタ。
・・・・・もしかしてベットから立ち上がったのか?
パタパタ。
その音は次第に俺の方に近付いてくるような気がした。俺は慌ててベットに潜り込んだ。
パタパタパタ。
その音は次第に早くなる気がした。
わ〜こっちに来るな〜。
俺は幽霊とか凄い苦手なんです。
俺には何も出来ません!!!
自分でも何を思っているのか良く分からないほどパニックになってしまった。
その幽霊は何かを語りかけたような気がした。
気付けば朝だった。
朝と言っても俺にしては珍しく朝日が昇る前の朝だ。
俺は、その病室から出て結城を探すことにした。
ナースステーションに行けば誰かいるだろうからそこで聞こう。
そう思いいそいそと歩いていると。
「森山さん?」
急に呼ばれて振り返った瞬間に看護士にぶつかりそうになる。
「わ〜すいません。」
「大丈夫ですか?どこかお怪我とかは?」
・・・・・・なんか癒されるって気分が・・・って思ってる場合じゃない。
「結城・・・・先生はどこに居るんですか?」
「多分医局にいると思いますので、呼びに行きますから、病室でお待ちになっててください。」
「いえ、俺の方から行きます。」
「そうですか?わかりました。ここから突き当たりに・・・・」
教えて貰ったのですが右から左の状態。
「って分かりませんよね?こちらです。着いて来てください。」
優しい〜。俺でなくても惚れるって〜可愛いし。思わずネームをチェック・・・・花田さんか〜。
デレデレしてる間に着いたらしく花田さんが声を掛けてきた。
「どうぞ。」
花田さんに即されて部屋に入った。
そこはごちゃごちゃの机が何席かあった。あれ?結城は?
「有難う、はなちゃん。かっちゃんこっち、こっち。」
声を辿って〜居た!!
いわゆる研究室みたいな小さな個室と化している部屋に居た。
「かっちゃん、コーヒーいる?」
「今は胃がおかしくなるからいらないって!お前は空きっ腹じゃないのか!!」
「あ〜大丈夫〜いつものことだから〜」
「医者の健康管理なってない!」
「気にするな、いつも何かをこまめに食べてるから・・・」
「それもどうかと思うぞ。」
「そうか〜」
「あ〜!!しかもブラックじゃん!!」
「これから本領発揮だからね〜。外来攻撃〜」
「どんな攻撃だよ!」
「その攻撃はイタ気持ちいいんだよ〜ん」
「エロじじい」
「俺がエロじじいなら、お前はムッツリじじいだ〜」
「それ却下」
「なに〜!!!」
ちゅうぅぅぅぅ
ネズミの声に思わず冗談が途切れる。
「あちゃ〜。これで五匹目か〜」
「五匹?」
「そ、実験に使ったマウスの数。それにしてもこれは強い薬だね〜。
普通使うであろう量くらいでぶっ飛ぶからホントごく少量でも中毒症状が出るみたいだね〜」
「で、俺の結果は?」
「ごめ〜ん。わかんない」
「殴っていいか?」
「殴らないで〜、って言うのもね〜基本的には興奮剤と変わらないんだ〜。
だからね〜ある程度常用するか大量にって言うならもっとわかりやすかったんだけど・・・。
少量だから中毒は酷く無いと思っていたけど・・・・最後のマウスに症状出たからね〜。
これ以上の実験は昨日の今日だと分からないものだね〜。」
そう言って結城は胸ポケットに入れていた煙草くらいの箱を取り出し渡してきた。
「それに一応薄めたこの薬を入れてるから・・・・注射できるよね?」
「多分・・・」
「もし、症状が出たらこれを打ってね。
一応俺の予想で五回分用意しているけど最後の一回くらいになるようだったら来てよ!」
「症状って例えば?」
「マウスが体験しているから詳しくは言えないけど・・・そうだね〜普通は、幻覚が主かな?
後はダルさやイラつきと言った精神の不安定ってとこかな?」
幻覚・・・昨日の病室のことを思い出した。
「ところで、あの病室・・・なんかイワクツキ?」
「イワクツキだね〜(笑)なんで?あ!もしかして見たとか♪」
「見たって言うより聞いたって感じかな?」
「マジで?う〜ん、やっぱり患者さんには寝かせれないし〜。あの部屋困ってるんだよね〜」
話が長そうなので俺は、立ち上がって帰ろうとした。
「あ!かっちゃん。」
呼び止められて俺の手に食券と書かれた紙を手渡した。
「お腹空いてるっしょ?これで、食堂でご飯食べて行きなよ!あの病室のお詫び」
「じゃあ、遠慮なく。」
「食堂のおばちゃんに宜しく!!」
俺は、医局を後にして食堂に向かうことにした。
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