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第十二捜査 食堂
医局から食堂まではそんなに時間は掛からないところにあった。
食堂は案の定と言うかがら空きだった。
「すいませ〜ん。」
誰かいるような気はしなかったけどとりあえず声を掛けて見た。
すると厨房の奥の扉が開いた。
「ありゃ?なんだい?もしかして患者さん?時間まで待ってておくれ!」
「あ、いや〜。結城・・・先生の知り合いでここで食べろって言われたんですけど・・・」
「ゆうちゃんの?待っとくれ。すぐ作ってあげるから」
ゆうちゃん・・・凄い親しいのだろう。
おばちゃんは、厨房の近くのテーブルに水を置いた。
俺はそこに誘われるように座ることにした。
「ゆうちゃんの友達か〜。何処で知り合ったの?」
「仕事上で・・・」
「って事は、お医者さんかい?」
「いえ、別の仕事です。」
「へ〜今は違うのかい?」
「今って言うか医者では無いです。」
「は〜、ゆうちゃんに医者以外の人がいるとは知らなかったね〜」
・・・・・結城・・・・知り合い少ないのか?
「ゆうちゃんの知り合いって言えばね〜
かなり有名な人とか居てあたしは、かなり恐縮ものだね〜」
「有名な人?」
「そ、え〜と、何とかって手術を成功させた人とか〜。助教授とかそうそう、院長って言われる人がゴロゴロ」
「ご、ゴロゴロですか?」
「ゆうちゃんは、学会って言うの?医者の地位的にはかなり有名なんじゃないかってあたしは思うのよね〜」
「は〜。」
「はい、お待ち」
お盆を俺の前に出す。
あんなに話していた割に早い。さすがと言うべきか。
「ところで、ゆうちゃんって彼女いるの?」
「さ〜聞いたこと無いですけど」
「あたしの娘とかどうかしら?あんな息子が居ればいいわね〜」
・・・・・なんか結城の外来攻撃と言っていたのがなんとなく分かってきた気がした。
おばちゃんの作った定食はかなりおいしい。
結城の薦めるだけの事はある。
「あ!そういえば、ゆうちゃ・・・結城先生が宜しくって言っていました。」
「ホント?もう、ゆうちゃんったら」
おばちゃんが『ゆうちゃん』『ゆうちゃん』言うので思わず言いそうになった。
おいしく食べ終わった後、病院を後にした。
とりあえず、マンションに戻るか〜。
マンションに着くと俺は満腹感と夜良く寝れてないせいもあって夢の世界へと誘われた。
起きたら辺りはすっかり暗闇と化していた。
テレビに電源を入れて見たが、やっぱり電源は付かない。
いつになったら電気が通るのやら。
文句を言おうかな〜って思って携帯を見ると充電が切れかけていたので充電することにした。
携帯充電機に電池を入れる。充電の準備をしながら峰志の机の上にあったカレンダーのことを思い出していた。
確か、5に赤丸。18に黒丸。
文字は・・・・さすがに思い出せない。
赤にはRの文字があったような〜。
R・・・・Right。右?
右に・・・・5?
まさか〜って思いつつも試してみたくなるものである。
思い切って、廃墟ビルに行って試してみようと向かっていた。
岸の用意した監視役は相変わらず居るらしい。
病院の時はいなかったような〜。
俺は気にせず廃墟ビルへ向かった。
廃墟ビルの入り口は無造作に開いていた。
中に入ると案の定誰も居なかった。
無防備だな〜って思いつつ峰志の部屋へと向かう。
誰も居ないと足音が妙に大きく感じる。
峰志の部屋の扉を開けようとすると・・・ガン。
やっぱり鍵が・・・・そう思ってピッキング道具を持って来て正解だった。
カチャリ
扉の鍵が開く。なかなか早く出来たと満足しながら中へ入る。
電気をつけなくてもそこそこ明るさを保っている部屋だ。
俺は真っ先にカレンダーを見た。
卓上のカレンダーには、13日に黒丸18日に白丸になっている。
・・・・違った・・・・。
改めてカレンダー越しに考える。
13日の曜日は・・・・水曜日。
18日の曜日は・・・・月曜日。
う〜〜〜ん。
卓上をぺらぺら捲って行った。
前の月にも印がある。
17日に黒丸曜日は水曜日。
22日に白丸曜日は月曜日。
お、同じだ〜。曜日に何か関係があるのか?
水曜日・・・ウィエンズデー?
月曜日・・・マンデイだっけ?
ヤバイ!!英語が駄目な俺・・・行けるのか?
ま、待てよ・・・。お世辞にも峰志は頭がいいようには見えないし〜。
いや〜でも案外英語とかぺらぺらなのか〜〜〜。
悩みつつ俺はふと金庫を見る。
黒丸の印と白丸の印がついていた。
きっと峰志がなんらかの理由でつけた?
待てよ・・・。
黒丸・・白丸・・・そしてカレンダー。
何故か第三、第四にまたがってるし・・・・・。
この金庫のタイプからして右に何回か回した後に番号をあわせる。
そして左に回すタイプだ。ってことは・・・右に三回転。うんで〜〜〜なんだろう?
ためしに・・・・黒に合わせて右に3回回して〜4ずらしてそして左に4回回して〜白にあわす〜
うんで鍵を差して〜
ガチャ
ガチャ?ふと見れば金庫が開いた。
峰志は俺と同じ思考?
とりあえず判子を交換して元に戻そう♪
カツカツ
ヤバイ誰かいたのか!とっさに暗がりに隠れた。
カツカツ
ふぅ〜、どうにかこうにか・・・。
え〜とこれを持って行かなくちゃな〜。
うっしゃ〜!!とにかく家で二度寝しよ〜♪
俺はそう思いながらマンションの方へ向かっていた。
微妙にスキップしている気がする。
いや違う・・・自分の中に何かもやが・・・・
バタン
自分が倒れる音が聞こえた瞬間に我に返った。
だが身体は自分の意思に反し全然動こうとしない!
ま、まさか・・・。
脳裏に結城の言葉を思い出す。
『普通は、幻覚が主かな?
後はダルさやイラつきと言った精神の不安定ってとこかな?』
違う・・・・けどこれはダルさに入るのか?結城の『かな』が微妙なんだよ!!
そんなことを思っていたが次第眠気が襲ってきた。
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