オリジナル小説へ

第十三捜査 癖
目覚めるとそこは天井? 「お、起きたか?」 そこには見知らぬ部屋に見知らぬ男が台所であろう場所に立っていた。 「そろそろ起きるだろうって思っておかゆ作ってみたんだがどうだ?食べれそうか?」 「はい。ところでここ・・・どこですか?」 「俺んっち」 「はぁ〜俺んちと言われても・・」 「あ!そうか〜名前まだだったよな〜。俺は鳥山正志〜」 「え?あ、俺は・・・勝山克好」 一瞬どちらにするか悩んだがとりあえず偽名にすることにした。 「うんじゃあ、かっちゃんね〜」 ・・・・・結城と同じあだ名の呼び方になるとは・・・。 「あ!俺の事はまっちゃんね〜♪」 「ま、まっちゃんですか?」 「かわいいっしょ?」 「・・・・・顔に似合わず」 「殴るよ・・・」 「も、もう、殴られてます」 そう言いながらも俺はベットの上にまた倒れこんだ。 「や〜この癖は治らなくてスマンスマン」 「意地でも治して欲しいです。」 「そうそう、かゆ食うよな〜」 ま・・・まっちゃんはそう言って立ち上がり熱々のおかゆを持って来てくれた。 その匂いに俺のお腹が鳴った。 「はは〜いい反応〜♪はい。熱いけど旨いぞ〜」 そう言われて差し出されたおかゆに口をつける。 「旨い」 「だろう♪」 お世辞にも取れそうだが・・・まあお腹が空いているせいもあるかも知れない。 「で、これ君の携帯だろ?・・・・・・・君友達居ないの?」 「え?」 「いや〜悪いかな?って思いつつも携帯のメモリーの誰かに連絡した方がいいかな?って 思ってメモリー見たら二人しか入ってないよ?」 「あ、これは・・・実は、最近携帯を無くして新しいのを買ったんですよ・・・父が」 「あ〜だから、父親の名が何回も着信してるんだね〜」 ・・・・まっちゃん・・・・侮りがたい。 「で、連絡しようかと思ったんだけど・・・・ほら、これ」 そう言って結城に渡された薬の薄めたものを見せられた。 見た感じからして薬中が持っているようなものだった。 「駄目だぞ〜。その歳で薬に溺れちゃ〜」 「い、今治療中でして・・・」 「え?じゃあ、あの岸って人がいきつけの医者? でも、普通病院じゃない?」 「知り合いのお医者さんなんです。」 「は〜そうなんだ〜じゃあ、親身になってくれるね。」 ・・・・・あまり考えてないから適当過ぎる。 ってかまっちゃんなんでこんなに鋭いんだ! 「正志〜、あ!お客さん?」 「いつも言ってるだろう!まっちゃんと呼べと!」 「え〜だって顔的に・・・無理!」 「由里!」 由里と呼ばれた女の子が俺の方へ来て 「あの顔でまっちゃんは可笑しいよね?」 「言えてます。」 ガン!! 頭に凄い衝撃をくらった。 「もう!何やってんのよ正志!!」 「スマン。つい・・・」 「何回も言ってるでしょ!その癖を治しなさいって!」 「ほ、ホントに・・・」 辛うじて声を出して頷いた。 「反省します。」 「あ!そうそう、用事忘れるところだった。 今日、ちょっと友達と飲みに行くから遅くなるからね。」 「分かりました〜。いってらっしゃいませ〜」 「じゃ、頑張ってね!」 そう言って由里は去って行った。 俺の唯一の味方が!! 「さてと、お前も来るか?」 「はい?どこに?」 「そんな身構えなくても変な・・・・いや、大丈夫だ」 「大丈夫じゃなさそうですけど・・・」 「うんじゃあ、騙されたと思って〜」 身構えたまま逃げ出そうとすると襟首を持たれて引きずられるようにして外に出た。 外に出ると普段美穂の買い物に付き合わされる味岬だった。 ・・・・美穂いませんように・・・・。 堂々とまっちゃんが歩く方向にはこれまた意外な事務所らしい店舗に辿り着いた。 「ここが俺の仕事場だ。」 そう言ってまっちゃんは、その店舗に入って行った。 俺はまっちゃんの後に着いて入って行くと 「おはよう御座います。鳥山さん。」 大勢の頬に傷持ちの奴等がまっちゃんに深々と礼をしていた。 俺は思わずまっちゃんの後ろに隠れる感じになった。 「大丈夫だって、かっちゃん! で、変わった事は無いか?」 「へ〜、何も」 「そうか」 そのまま奥の部屋に入った。 「・・・・・取って喰われるかと思った〜。」 「あはは〜あれでもいい奴等だよ」 「う〜ん、その顔で言われても・・・」 ガン! 頭に衝撃が走った。 「ゆ・・・・・由里さんに・・・言ってやる」 「う〜んそれは困るな〜。あれでも由里は怒ると恐いんだ。」 「見ればなんとなく分かるよ。」 コンコン 「失礼しやす」 そう言って大柄の男がコーヒーを運んできた。 そして手際よくテーブルにコーヒーを並べる。 「有難う」 「いえ、では、失礼しやす。」 そう言って去って行った。 「砂糖とミルクあるけどいくつ?」 「砂糖二つ。」 「ミルクは?」 「いらない」 入れてくれるのかと思えば結局入れなかったので自分で入れることにした。 「で、聞きたい事があるんだが・・・」 「聞きたいこと?」 「そうだ、君が言ってた岸先生?本当に病院の先生か?」 「え?」 「悪いが君の携帯のメモリーにある岸の携帯は俺も知っている。 何故嘘をつく?」 「い、いや・・・知り合いとは思わなくて・・・なんて言うか そう、なんて紹介していいのか分からなくて」 「まあ、言えてはいるが・・・どういう関係だ?」 「関係・・・。あえて言うなら脅す奴と脅される関係?」 「・・・・どういうことだ?」 「そのまんま・・・!!」 そういえば監視はどうなったんだ? 窓辺に行って辺りを見回した。 「どうした?」 「監視が・・・いないのか?」 「監視?ああ、いないな。 なんだ脅されているって言うのは自分の命か? じゃあ、何と交換だ?」 「それは〜」 ポケットを探るが・・・無い!! 「ああ、もしかしてこれか?」 まっちゃんの手には判子が握られていた。 「それ!!」 「残念だけどこれは偽者だよ」 「に、偽者!!」 「そう、レプリカでも作ったか?」 「作った・・・。じゃあ、取り替えるときに失敗したのか・・・・」 「お前・・・・」 「哀れみの目で見ないで〜」 「いや・・・そういうつもりは無いが・・・・。 もしかしてお前、峰志を知っているか?」 「え?峰志さんも知っているんですか?」 「知っているもなにも後輩だ。」 「は〜後輩・・・・後輩!!」 思わず声を張り上げた。 「でも、どう見てもまっちゃんは、30代だし・・・峰志さんは、40代っすよね?」 「残念だが・・・・峰志が30代で俺は20代だ。」 「!!!????????」 衝撃が駆け巡った。 「老け顔」と思わず呟いてしまった。 「え?でも、じゃあ後輩って可笑しくないですか?」 「義兄弟で言えば弟にあたるんだ。」 「・・・・じゃあ、まっちゃんはいつ入ったの?」 「あ?あ〜16かな?」 「じゅ、16!!」 「そんなにショックか?」 「高校は?」 「出たよ?」 「ならいいけど・・・」 「なんだ?人を学歴でランク付けでもしているのか?」 「いや、あまりにも若くしてこの世界っていうのに驚いて・・・」 「後を継ぐのが早かっただけだ。」 「へ、へぇ〜」 「話が反れたが、岸とはいわば敵と思っているのか?」 「まあ、そうなりますね〜 まず、友好的には思えないし」 「ちょうどいい、俺もそう思っていたところだ、で、物は相談なのだが・・・」 「相談?」 「岸一味の居場所は分かるか?」 「高層ビルの?」 「そう!それだ!分かるのか?どこだ?」 「名前は・・・確か・・・キソウ?キヨウ?」 「・・・何処だ?」 「場所は分かるけど名前が分からない〜〜〜」 「だろうと一瞬思った。」 「なら聞かないで・・・」 「じゃあ、場所は?」 「峰志さんの拠点から車で数十分行ったところ」 「住所は?」 「・・・・角蝶区と宮佐古区の境目くらい」 「木曽巳町か?なるほど・・・」 そう言ってまっちゃんは考え込む。 俺は何かとんでも無いことを言い出すんだろう事を覚悟していた。 「岸と一緒に捕まってみない?」 「は?」 唐突に何を言い出すんだこいつ!! 「いや〜このまま君が生きていれば時期に岸にはバレるならば手を打つべきだと思うんだ。」 「でも、一緒に捕まるって言うのは・・・」 「君がぼこぼこにやられれば暴行罪なりでとりあえずは起訴されるから〜 それを足がかりに多分警察は動いてくれるから」 「でも、俺が・・・」 「大丈夫もしもの時は俺が保証人になってやるから」 「いや・・・そういう問題じゃなくて・・・」 「ちょっとブタ箱の飯を食うだけだよ!」 「それは・・」 パチンと指を鳴らしてにっこりとした顔で 「強制☆」 「ですよね?」 指を鳴らしたときに大勢の出迎えた人達が入って着たので俺は従うことにした。 <<BACK NEXT>>