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第十六捜査 デート
カランカラン 「スイマセン。今は・・・あら?勝也?」 「ただいまです。」 「ちょっと待ってね。美穂!!!」 俺は、即されるようにカウンターの指定席に座る。 「な〜に、おか・・・・!!!勝也?」 「そうなのよ〜帰って来たのよ〜」 「え〜どうしたの?急に?」 「急にって・・・メール行ってない?」 「メール?」 そう言って美穂は自分の携帯を取り出して悩んでいた。 「着てない!」 ・・・・・・・・結城のヤロー。 「じゃあ、明日大丈夫なんだ〜♪ 仕事は?」 「中断中。なので明日夜に仕事直行」 「早起きしてよね!ささ!!起こしに行ってあげるから!」 「寝ろと言われて寝れるわけが・・・」 そう言い掛けたときお腹が鳴った。 「もう、何も食べてないの?」 「そういえば、食べてない。」 「もう、仕方ないな〜」 そう言って美穂はエプロンを取り出して手際よく料理して行く。 俺は、それをフォークとナイフを持つように箸を持って 「まだ〜まだ〜腹減った〜」 「じゃあ焦がそう」 「そう言わずに〜3つ星の腕を〜」 「仕方ないわね〜」 ちょっと照れた感じに次々におかずを作っていく。 「はい。出来上がり。残り物が多いから適当だけど・・・」 その適当って呼ばれるのは、俺が出来る代物ではなくこれはもう旨いの一言しか出ない。 「ふぅ〜食った食った〜。」 「食べすぎ〜」 「旨かったもので〜ゲフ」 「もう!汚い!」 美穂は俺の食べたものを片付けながらそう言った。 「あ!そうだ、部屋汚かったから片付けたってお母さんが言っていたよ」 「ブ!!」 水を飲んでいるときにそんなことを言われたので水を吹き出してしまった。 「な、ゴホゴホ」 器官に入ってしまった。 「大丈夫なの?」 「あ〜、大丈夫。ってかどうやって入ったんだ?」 「なんでもね〜。高波さんが来て部屋を掃除してあげてくれって言われて鍵を貰ったらしいよ。」 「鍵?なんで、高波さんが?」 「え?勝也がお願いしたんじゃないの?」 「し、してるわけないだろう!!」 「なに?なんか部屋に変な物でも置いているの?」 「変な物っていうか・・・・」 頭に過ぎっていたのは、年頃のものではなく明らかにマニアックのものであった。 「いや・・・・まあ・・・・」 「なに?気になる〜私もお母さんに話して・・・」 「わ〜やめろ〜!!」 「じゃあ、教えてくれる」 「・・・・・・・寝ないとな〜明日早いんだろう?」 俺はそう言って自分の部屋に戻ることにした。 後ろから美穂が講義しているようだったが・・・・。明日がちょっと尋問されないことを祈ろう。 俺は部屋に戻るとすぐに寝ていたらしく気付けば朝の日が昇っていた。 今何時だ? 時計を見ると9時だった。 ・・・・・・眠い。 また布団を被り直すと 「勝也!!!!!!!」 これでもかと言う位の声を出し、壊れるような勢いで扉が開いた。 「無用心ね〜鍵掛けないなんて・・・」 確かに・・・・。 「まだ寝てるの?」 「いえ、起きてます」 「じゃあ、布団から出なさい!そして着替える!」 「・・・・・・・いいけど・・・・俺・・・・パンツ一丁だぞ!」 「きゃ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」 美穂が凄い勢いで去って行った。 思った反応より激しかった。 ただ、着替えるのに出て行って欲しかっただけなのに・・・まあいいや。 俺はそう思いつつ着替えた。 カチャとドアを開けると美穂がドアの横で縮こまっていた。 「美穂大丈夫か?」 「大丈夫!今日はね〜。映画にしようと思ってね〜。」 そう言って美穂はごそごそとパンフレットらしいものを取り出した。 「これね〜。好きな人を殺してしまうって話で・・・」 「待って!それは・・・・もしかして血がドバーとか幽霊とか出るの?」 「え?そうだけど・・・・嫌い?」 「嫌いって言うか・・・」 「じゃ、いいよね?早くしないと上映時間が迫っているんだからね〜」 「え〜あ〜」 「早く!!」 あ〜幽霊とか血とか苦手なんだけどな〜。出ないことを祈りながら映画館に向かった。 映画は血が出るわ・・・幽霊は出ないが目を覆う光景に異様に疲れた。 「面白かったね〜。最後意外だったし〜」 「だね〜」 「どうしたの?面白くなかった?」 「だね〜・・・・・・いや、別にそういう意味じゃ」 「面白くなかったんだ・・・。」 美穂はしょんぼりとして歩いていくの俺は慌てて追いかけた。 「美穂・・・その〜」 「あれ可愛い」 そう言って美穂が指差したのはハートが二つ重なったペンダントだった。 「いいな〜あれ高いんだろうな〜」 俺は、かすかに見える値札を見た。いちじゅうひゃくせんまんじゅ・・・・14万・・・・・。 なんでそんなに高いんだ!! 俺は財布の中身と相談した。 自分の財布を見てビックリした。 何故か万札が何枚も入っていた。 それを束ねているような紙を取り出すと『上手く行く様にね♪ちなみにこれは、保険料からかっさらっておくから(^_^) 結城』 何をやっているんだ・・・結城は・・・。 今回ばかりは結城に感謝だ。 俺は、お店の中に入って美穂が欲しがっていたものを買った。 店を出ると美穂が慌てていた。 「高いよ〜今なら返せるって・・・」 「いいからいいから」 「でも・・・・」 俺は、美穂にさっき買ったペンダントをつけて上げた。 「ありがとう」 そう言って笑顔の美浦を見れた。 あんな高価な買い物はやっぱり痛いな〜。 すると視線を感じて視線を感じた方向へ振り返ると別に何も変わったところは無かった。 「どうしたの?」 「いや。気のせいみたい」 俺たちは早目の夕食にすることにした。 「何処がいいの?」 「う〜ん、何でも」 「なんでもじゃ分からない!!」 「じゃあ・・・・カレー」 「めんどくさがってない?」 「・・・・・・・じゃあ、肉」 「どんな肉料理よ!!」 「う〜ん。カツカレー?」 「カレーでいいの?」 「あ〜何でもいいや〜!」 「もう!!」 美穂はまたしても怒った。 「・・・・・・じゃあ、美穂の三ツ星料理で」 「え?それじゃあ、私がなかなか食べれないじゃないのよ!!」 「う〜ん、でも美穂の料理が一番おいしいからさ〜」 「わかったよ〜」 そうして美穂の家へと向かうことになった。 「いら・・・あら?どうしたの?」 「あのね〜勝也が私の料理がいいって言うの〜だから〜」 「あらあら」 おばさんは含み笑いにも似た感じでクスクスと笑って 「じゃあ、奥で食べなさい。ここは、お客さんがいるし」 「俺は・・・ここでも・・・」と言いかけたときおばさんに即されるように入れられた。 俺は美穂が料理を作っている間テレビでも堪能しようとテレビをつけた。 テレビをつけるとたまたまニュースだった。 俺はチャンネルを変えようとリモコンを探した。 「美穂ーリモコンどこ?」 「その辺にない?」 『次のニュースです。麻薬取締法違反により逮捕された岸洋平容疑者は、警察署より脱走し、現在全精力を上げて捜査中です。』 岸?俺はテレビの画面を見た。 そこには紛れも無く岸の写真が出されていた。 『市民の皆様のご協力を宜しくお願いします。』 岸が逃げた? 「見つけられた?」 「全然」 「あるじゃない!はい。」 「ありがとな」 俺は、美穂からリモコンを貰った。 美穂はリモコンを渡すと台所に戻っていった。 俺はチャンネルを変えながらぼけーとテレビを眺めた。 「はい。お待ちどうさま」 「お!出来たか!」 岸の事はとりあえずほっとくことに頭が行った。 「どう?」 一口食べただけで聞かれた。 「うま〜い!さすが美穂!」 「やだ〜もう!」 バンと背中を思いっきり叩かれてむせた。 「え?ちょっと大丈夫!!」 大丈夫ではない。死にそうだ。 涙目で必死になって咳をしてどうにかピンチを脱した。 「し、死ぬかと思った〜」 「食べ物を喉に詰まらせて死ぬのは早いよ〜」 「いや、あのままだとマジでそうなるところだった。」 「急いで食べるからだぞ!」 お前が・・・いや言わないでおこう。 楽しい時間にふと時計を見ると9時を過ぎていた。 「俺そろそろ行くな。」 「え?あ、ちょっと待って。」 そう言って美穂は自分の部屋の方へ駆け出していた。 数秒と掛からないうちに美穂が戻ってきた。 「はい。これ」 そう言って渡されたものは、時計だった。 「時計?どうしたんだこれ?」 「悩んでそれが一番いいかな?って思って・・・・ 誕生日でしょ?忘れてたの?」 「た、誕生日?」 明らかに忘れていた不意打ちによろけそうになった気がした。 「時間なんでしょ?いってらっしゃい」 「ありがとな!じゃあ行って来る。」 俺はそう言って美穂の家を後にした。 <<BACK NEXT>>