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第十七捜査 公海
港に着くとまっちゃんはすでに着いて待っていた。 「かっちゃんこっちこっち〜」 強面の方々に睨まれつつ俺はまっちゃんの方へ向かった。 「あれ〜その格好はちょっと・・・どうせならこれを着てみるといいよ。」 そう言って出されたのは明らかにホストチックの格好のような組み合わせだった。 「これ〜誰のですか?」 「お前のために買って来たんだが?大きいか?」 「大きいって言うより・・・・・俺ここで働くんっすか?」 「いや、別に働くって事は無いが・・・」 「じゃあ、まっちゃんのその服がいい!」 「そうか?俺はその服の方が似合うと思うが・・・ じゃあ、仕方がない。タキシードしかないぞ?」 「それでいいです。」 「勿体無いな〜」 「その服はどうやって決めているんですか?」 「由里が勝手に決めてるが?」 やはり・・・・。この人に服を決めさせてはいけない。 「来た来た。じゃあ、これでいいか?」 「はい。」 俺達は豪華客船に乗り一つの船室に通された。 「着替えて来い」 そう告げて俺は着替えることになった。 着替えるときにボトと何かが落ちた。 見るとさっき美穂に貰った時計が落ちた。 ・・・・・ついでだし点けとくか。 着替え終わり戸を開けるといると思っていたまっちゃんの姿が見えずに強面の人達に出迎えられた。 「鳥山さんがお待ちだ。」 「はい。」 俺は、強面の人達に挟まれながらまっちゃんの方へ向かっていた。 「お、来たか? や〜思ったより似合うな〜」 「馬子にも衣装っす」 「あ〜言える。」 そう言ってまっちゃんは笑い転げるくらい笑った。 妙に恥ずかしい。 「ところで、今日はここで何が起こるんですか?」 「あ〜それなんだけど・・・これから公海に入ったら教えてくれる?」 「はい。鳥山さん」 「公海?」 「公海に入ったら面白いところに連れて行ってやるよ。」 「面白い?よく分からないんっすけど?」 ザ!と音が鳴って強面の人に取り囲まれる。 「し、失礼しました。」と言うとザ!と鳴って離れた。 なんかこれどこかもこれだったような〜? 「ここはいいから下がっててくれ」 「はい。」 そうまっちゃんが言うと軍隊のように去って行った。 「恐かったか?」 「はい。」 「分かりやすい奴だ。 今日はどうだった?」 「どうだったって?」 「デートだったんだろ?」 「は?」 「俺の情報網を馬鹿にするな!」 そう言ってまっちゃんは写真を取り出して言った。 その写真には紛れもなく俺と美穂が写っていた。 「え?これどうしたんですか?まさかつけたとか?」 「まあ、それに似たようなものかな?」 「う〜趣味悪いっすよ。」 一瞬視線を感じたのは感じたが・・・この写真の他にもあるのか〜 「まあ、別にお前を強請る気は無いから」 「強請られても・・・・お金は無いっすよ。」 「まあ、俺よりは持ってないみたいだな。」 「って言うかこれはたまたま写しただけだからこれ一枚しかないけどな。」 「へ?」 「岸が脱獄って言うとちょっと違うがしたのを知っているか」 「あ〜ニュースで聞きました。」 「今回それを探すのでたまたま見かけて撮っただけのことだ。」 「あ〜そうっすか〜。」 「そうイジケルな。すぐに探したのだがやっぱり誰かバックにいるのか尻尾もつかめなかった。」 「え?じゃあ、まだ・・・・」 「ああ、で逆恨みでお前が危ないかも知れない。」 「危ないって・・・って逆恨みって俺じゃないっしょ!」 「あくまで可能性で合って・・・」 コンコン ドアの音で話が中断される。 「はい。」 「失礼します。鳥山さん公海に入りました。」 「そうか分かったすぐに行く。」 ドア越しに話す。 「さて、かっちゃん行こうか?」 「行くって?」 「面白いところに連れて行くって行っただろう?」 まっちゃんの面白い場所と呼ばれるところに着いて行く事にした。 そこでは大広間の大ホールとでも言うのか?とにかく広い上にそれに対して人もまばらに着ていた。 そこで行われていたのは賭博? 「え?ここは?」 「見ての通りカジノだ」 「カジノ?ええ!!!!いいっすか? 日本じゃ法律上・・・・」 「そ、でもここは海の上しかも日本の領域からは逃れたので法律には引っかからないよ。」 「マジっすか!」 ザ!と俺の周りに人垣が出来そうになったがまっちゃんが手で即したおかげで囲まれること無く話が進む。 「これがチップ。これで遊んでこい。」 そう言ってまっちゃんから手渡されるかと思ったら強面の一人が俺の手をガシッと攫み掌を広げさせチップを貰った。 強制? 「じゃあ、俺は挨拶周りで忙しいからまた後でな。」 強面の人達を連れてまっちゃんが去って行った。 まあ、俺も楽しもうと思ってとりあえずどんなゲームがあるのか見るだけでも楽しそうだと思い見て回ると疲れるくらいに広い。 ここは本当に船なのか?って思うくらいに広い。 疲れた〜とにかくどこかのゲームの席でも着いてみようかな? ふと見たテーブルのディーラーがにっこりと笑いかけられた。 その笑顔を断る勇気がなく俺はそのテーブルに着く事にした。 「いらっしゃいませ。始めてですか?」 そのテーブルにはどうやら俺だけらしく俺に楽しいそうに話掛けていた。 「はい。」 「初めてならこのゲームが一番楽ですよ。」 そうとは思えないほど少ない。 「あ〜これですか。実はあっちに行くほど金額が上がるんですよ〜 で、ここが一番配当金が少ないから人気無くて」 オーバーリアクションとでも言うのか?ディーラーは言いながらもあっち指しこっち差しそして頬を指で擦りながら説明する。 「でも、それ以外はいたって同じですからご心配なく」 俺が何かを心配しているような言い方である。 そして、何も言っていないのにカードが勝手に配られた。 「本当はチップを払ってからカードを配るんですけど・・・説明ですから」 坦々と語られるディーラーにちょっと頑張りが伝わってくる。 ふとディーラーから目を離して周りを見るとまっちゃんの姿が見えた。 まっちゃんは、このホームから去ろうとしていた。 俺は思わず掛けようとしたとき 「あ!どうされたんですか?」 「と、トイレ」 「トイレはですね〜」 親切に教えて貰うことになった。 出る場所はまっちゃんが通った方向と変わらないので助かった。 駆け出してまっちゃんを探した。 まっちゃんの姿を発見した場所は船外だった。 そこでは数人の強面が周りを囲むようにして立っていた。 かすかに見える光景は何かを取引しているように見える。 あれは・・・・・・銃? 振り返られそうになったので慌てて戻る事にした。 「あ、大丈夫でしたか?」 気のいいディーラーさんがそう言う。 きっと俺が焦ったような行きかたをしたので限界に感じたのだろう。 「話の続きをしますね。」 にっこり笑って話を続けられた。 初めてだが分からなくも無いので適当に聞いていた。 あそこで、俺の目が確かならあれは銃ってことになる。 まっちゃんが銃の密輸ルートか? 「やってみたくなったでしょ?」 そう言われて我に返った。 俺はチップをごそごそと取り出してやってみようとした。 「あれ?お客さんそれはこのテーブルの上限に値するチップですね〜。」 「え?そうなの?」 ふと見るとディーラーの席には緑のチップが並べて置かれているが俺の手元には黄色のチップが握り占められている。 「いいですよ。今回だけ変えましょう。」 そう言って手際よくチップを両替して貰いゲームをする事が出来た。 何回のゲームを行っただろうかふと背中に人の気配を感じて振り返った。 「まっちゃん?」 「かっちゃんやるじゃん! あ!俺も入るね〜」 後半はディーラーに向けられた言葉だった。 「やっと挨拶も終わって疲れたよ」 「休憩しなくていいんっすか?」 「今がその休憩」 う〜ん、ゲームが休憩とはどういう思考回路? カードが配られてまっちゃんは思いのほか楽しんでいた。 <<BACK NEXT>>