オリジナル小説へ

第十八捜査 海上保安官
数時間が経ち、チップもなくなりかけた頃、俺達は部屋に戻ることにした。 俺の部屋と言われて入った部屋はまっちゃんの部屋よりちょっと行った先にあった。 カチャと軽い音が鳴って入ると二段ベットがある四畳あるか無いかの広さで合った。 しかも下のベットは誰かが寝ていた。 思わず立ち去ってまっちゃんに問いただそうかとドアに向きかけたとき 「動くな」 低い声でそう言われそして背中には銃口らしい感触が・・・。 俺はおそるおそる手を挙げ降伏する。 俺の身体検査をされた。 「あの〜銃なんて物騒なものは・・・」 「死にたいか」 「滅相もありません」 気付けば俺はこういうことばかりしている気がするな〜。 上から下に掛かるときにちょうど腰を触られた。 「うひゃひゃひゃ」 「死にたいのか?」 「め・・・めひょうもござい・・・ません。」 笑いを堪えながらもしゃべると微妙に変である。 「よし、叫ぶなよ」 そう言って俺と向き合った。 「で、貴様は何者だ?」 「何者?」 「ああ、こんな豪華船に乗っているんだ。 誰かの付き人であろう?」 「付き人?いや〜俺もこんなのに乗るとは思いませんでしたよ」 苦笑いすると顔面に銃口が向けられて笑いが苦笑いに変わった。 「はっきりしないと打つぞ!」 「え〜と・・・・付き人ってわけでもなく・・・そう!友人として!」 「まあ、いい。どうせ貴様も捕まる。」 「捕まる?」 男は銃口を向けたまま器用に手帳を取り出し 「海上保安官架島栄二郎である。」 「かい・・・海上ほあ・・・」 思わず声を張り上げそうになったとき架島口を押さえられた。 「そういうわけで、諦めな。」 「てひょをのかしゅてくれなひ?」 「は?なんて?」 手を退かして言った。 「手を退かしてくれないと言ったので願いが叶いました。 あ、そうそう海上・・・の方のようなので俺も身分を明かすと警察官です。」 「はぁ?貴様が?」 「嘘と思うなら・・・・・あ!」 手帳を事実上持ち合わせないので残念ながら証拠の品がない。 「て、手帳は無いけど・・・」 「じゃあ、貴様は違うな」 「あ〜でも本当で・・・何を言えば分かって貰えるのかな?」 「知らん。まあお前はここの部屋になった時点で諦めた方がいい。」 そう言ってテキパキと縄を取り出した。 「わ〜待って!あ〜俺の携帯の父って番号に掛ければ俺が警官だって・・・」 「そんなの信じられないな。」 「試しにね!」 「ここでは電話は使えないぞ?」 「・・・・・・・・・じゃあ、あ〜ちょっと待って!」 「今度はなんだ?」 「君に協力するよ!な!いいだろう?」 「信じられないな」 「そう言わずに・・・」 「大体、あと数時間で海上保安部が乗って来るから別に何も役に立つわけがない。」 「マジで?」 「嘘を言ってどうする?」 「そりゃそうだ」 俺はそう言われながらも縄でグルグル巻きにされた。 「ねぇ?解かない?」 「貴様はそこで捕まるんだ。」 「捕まるは別に構わないけど・・・ 出来たら捕まった後でもいいから高波さんに回して欲しいな〜」 「高波?」 「そ、角蝶署の確か〜マルボウの高波さん」 「え?あの高波さん!」 「え?知っているんっすか?」 「ああ、俺が海上保安になる前にお世話になったんだ。 そのときは少年課だったけどな。 元気っすか?」 「え?元気過ぎて怖いっすよ〜」 「そうなんっすか〜やっぱり相変わらずぶっしょう髭を?」 「あ〜あれは健在みたいだけど・・・最近はちゃんと剃るみたいっすけど・・・」 「え?マジで〜アレこそ高波さんって思ってるのにな〜」 「理由はわかんないっすけど・・・多分娘さんが関係あるんじゃないっすか?」 「え?娘さんが生まれたんっすか?」 「あれ?知りませんでした?」 「ああ、息子さんなら知ってるけどな〜」 「ほえ?息子・・・・?」 「なんだ知らないのか?確か今年で13歳だぞ」 「ええ!!初耳〜〜。 ちなみにイチゴパフェとか好きっすか?」 「はぁ?イチゴパフェ?」 「そうなんっすよ〜イチゴパフェを奢らされたんで・・・てっきり娘さんかと・・・」 「あ〜でも俺も音沙汰無しだからな〜どうだろう?」 二人は腕を組んで頭を抱えた。 「ってお前どうやって縄を解いた!!」 「あ、俺の特技の一つで縄抜けを・・・」 「縄抜け・・・・何をやっているんだ。 は!もうこんな時間!名前は?」 「あ!かつ・・・・じゃないや。森山勝也。」 「森山か・・・分かった」 「あ!別に捕まってもいいけど・・・」 「分かっているじゃあ、」 そう言って架島は出て行った。 俺はとりあえず身支度をした。 って服を無造作に置かれていたのを鞄に入れるだけだけど・・・。 ついでに寝ようかな〜でも起こされるの嫌いだしな・・・。 そんなことを思っていたらバン!と勢いよく扉が開き 「海上保安部だ!外に出ろ!」 そう激しく巻くし上げる男が立っていた。 俺は即されるように部屋から出た。 <<BACK NEXT>>