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第二捜査 第一関門
パストバーは、裏路地の裏、人通りすら出来そうに無い一角だった。
探すのに普通なら苦労しそうだったが、このイワクツキ・・・・
いや、手帳に書いてあったおかげでこの場所がすんなりわかった。
バーの扉を潜る。
「いらっしゃいませ」の一言も無い店だ。良くこんな店が残っていられるものだ。
・・・・・・・そうか、裏取引には絶好の場所だから裏金を貰ってて当たり前か。
俺はその足でカウンターの席に着いた。
「マスター、コーラー」
俺は短くそう告げた。
すると、奥の方から男がのそのそと出てきた。
「あんた、ブツは持ってんのか?」
ひょろりと伸びた背かと思えば少し痩せ過ぎだがそんなに背の高さは無いようだった。
その男が発した「ブツ」とは、多分金のことだろう。
「いや、俺は・・・・・」
俺が言おうとした言葉を聴く間もなくカチャリと軽やかな音が目の前に向けられた。
・・・・・・銃・・・・・・・・。
「おい、おい、何のつもりだい?」
俺は恐る恐る両手を挙げつつ言った。
「ふん、お前、ブツ持ってないのにのこのこ来んじゃねぇよ」
男の持ってる銃がクイクイと動き俺を地面に伏せさせる。
「俺は、売って貰う為じゃなく売る側になりたいんだ。」
「はあ?なに、お前売人になりたいわけ?」
「ああ、楽そうだしな。」
「ふん、確かにな、たった一時間で一人にブツを売るだけで何十万と貰えるからな」
「へ〜すげぇな〜」
男はしゃがみこみ俺の顔を覗き込む。
「いいぜ。着いて来な。」
・・・・・・・・・第一関門クリアかな?
男についていくと複雑だった裏路地をまた複雑に入り組んだ場所へと向かって行く。
「俺はしがない売人だからな〜売人のドンに会って貰うぜ〜」
「へ〜ドンっすか〜」
男は今にも壊れかけそうなビルの中に向かう。
その中で少しばかり廃墟か?と思われる場所を通り過ごしたかと思ったら
廃墟の横の路地を入り少し歩くと廃墟の入り口へと入っていった。
「え?こんな所に?」そう呟き掛けた時、廃墟の中は外観からは想像も出来ないほど綺麗だった。
「何やってんだこっちだ!」
俺が唖然と口を開けていたせいで急かされた。
「あ、す、すまない。」
俺は謝りつつ男の後をついて行った。
「あ!峰志(みねし)さん」
男はひょろりとした身体をくの字に曲げた。
俺も慌てて顔を下げようとしたとき、
「垣根(かきね)・・・なんだこいつは?」
「へ〜、え〜と名前は・・・」
「あ、俺・・・いや、自分は勝山克好(かつやまかつよし)って言います」
垣根と呼ばれた男に名乗ってなかったことので俺はさっそうと名乗った。
「勝山?ふ〜ん・・・まあ、いいや。で、こいつはなんだ?」
「へ〜、こいつは売人をやりたいらしんですわ〜」
「そうなんです!俺・・・どうも仕事って嫌いで〜。でも楽して稼ぎたいし〜」
「ははははは〜、まあ、いいまずはやって貰おう。」
峰志はそう言いつつ紙袋を持った物俺に突き出した。
「これは?」
俺はそういいつつ紙袋を覗き込んだ。
白い・・・・・・・多分薬だろう。
「そりゃ〜わて等が配ってる薬だ。
やり方はまあ、今回だけはこの地区のみで売ることだな。
この地区ならば場所は問わない。どこでも言い。
値は、必ず10万以上のことそれは薬の値段だ。
それ以下だったらお前の懐から出すんだな。
また、10万以上の差額で10%とはこっちにくれ、それ以外がお前の給料だ。」
どうやら、売り高のようだな。
「じゃあ、初仕事頑張れよ!」
垣根は高らかに手を振った。
俺はそのまま外に出た。
ビルを出た辺りから後ろから視線を感じる。どうやら、監視ってところか。
俺はとりあえずここが何処なのかを調べた。
なるほど・・・ここは警察署からさほど離れていないな。灯台下暗しとはよく言ったものだ。
俺は場所を把握した後に公園へと向かった。噴水の辺りをうろつくと、ドンと人に当たった。
「わしだ。」
「場所は、角蝶区にある。」
「・・・・・・分かった。また後日。」
俺と高波が持っていたものを交換した。
俺はその足で廃墟ビルへと向かった。
「早かったな。」
峰志がすぐに居て俺はビックリした。
「ええ、どうも薬中にちょうど出くわしまして・・・」
俺の言葉が終わるか終わらないうちに俺の頬に鉄拳が打ち込まれた。
「グフ。」
「お前は、危機感が無いのか?此処にまっすぐに帰ってきてどうする?
もしかしたら犬に付けられるかも知れないと言うのに・・・」
峰志は、言葉を吐きながらソファーに腰を掛け、グラスにウィスキーを注ぎそのまま飲んだ。
水で割らないのか?
「あまり、考えの無い奴はすぐに捕まるぞ。」
「はい。すいません。」
俺は頬を撫でながらそろそろと立ち上がった。
「まあ、いい。今日は帰れ、明日も同じ様な失敗は許さないからな」
俺は頭を下げつつビルを出た。
・・・・・・まだ、ついてるのか・・・。
俺はとりあえず公園の方へと向かいそのすぐ近くにあるマンションに向かいエレベーターに乗った。
俺は迷わず5階のボタンを押した。そして予め用意してあった部屋へと向かった。
用意しておいた。表札を入れて部屋に入った。
そこにはソファーとテーブルがあるだけのシンプルなものだった。
俺は着ていた上着を脱ぎその辺にほっぽって大きなため息をついた。
「テレビ・・・・・・・!!!」
恨みにちょっとイラつく。テレビはあるがまだ電気が通っていないからだ。
まだ、昨日の今日では駄目との事だったので用意もそこそこだった。
俺はそのままの状態で寝付いてしまった。
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