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第六捜査 依頼
今日の天気は晴天に恵まれた。
俺は、眠い目をこすりつつ廃墟ビルの方に入っていった。
「おはよう御座います。」
ネムネムな礼した頭に喝のように拳骨(げんこつ)が落ちてきた。
「な、何をするんですか!垣根さん」
「おめぇ〜しゃんとしろ!しゃんと!」
「俺、朝弱いんっすよ〜」
「まったく」と毒ついてはいたがそれ以上何も言わなくなった。
やってきた場所は、昨日の元入り口だ。
その入り口には昨日と同じ様に車が止まっている。
ただ違うことは、その車の荷台には昨日は積まれてなかった物が積まれている。
垣根はモクモクと入って行き荷台から薬を運び出す。
俺もそれに習う。
ちょうど岸と入れ違いになったとき実行に及んだ。
垣根の持っている袋に向けてかみそりの刃を慎重に投げた。
シュンと少し音がしたが誰も気付いている様子は無かった。
そしてそのかみそりの刃は思ったとおり垣根の袋に少しだけ切った。
「垣根さ〜ん、袋が破れてます!!」
そう叫ぶと同時に聞こえた声。
「不味い!吸うな!!」
その言葉に瞬間的に口を押さえた。
辺りには、袋から出た粉が少し舞って白い視界を作った。
「う、ぅぅぅぅ」
垣根が唸りだしたかと思うと痙攣を起こして倒れた。
な、何が???これは中毒症状?でも何故?
ガラガラガラと音が鳴りさっきまで垣根が居た場所と俺の居る場所の境にシャッターが下ろされた。
「どういうことだ!岸!!」
いつの間に居たのか?峰志がその場に居た。
「・・・・・・・・」
岸が無言で居ると峰志が岸に向けて拳骨を突き出した。
「これはどういうことだと聞いている!!」
「・・・・・・ふ、あんたには関係ないことだ。
あんたはただ忠実に仲介屋をやっていればいい。」
そして岸は踵を返して去って行った。
峰志はそれを見て悔しさを壁にぶつけていた。
俺はとりあえず岸を追うことにした。
だが岸が行ってしまったと思っていたが実際は真横に居た。
驚いて少し高く飛んだ気がした。
「やあ、君に用があってね。」
「用ですか?」
「ついて来て貰おうか」
そうしてまた、岸は歩いていった。
俺は何かあるだろうとは思ったが出来れば組織の中腹に乗り込めるかも知れないと思いついていくことにした。
一緒について行くと車に乗りあるマンションへとやって来た。
このマンションはタダのマンションとは違い高層マンションのようだ。
「うは〜これ一室なんぼだよ!!」と思いながら黙ったままついて行った。
岸がエレベーターに乗り俺も乗ったときにエレベーターの階ボタンを押した。
そこは30階が点灯していた。
エレベーターの階ボタンでこのマンションは45階建てのようだ。
チンと音が鳴った。
思った以上にエレベーターが早く着いた。
やはり高層となるとエレベーターの作りも違うのか?と余所見をしていたら、
ザッと音が鳴り周りを取り囲まれた。
周りを見ても満遍なく囲まれている。
岸はかやの外で坦々と語りだした。
「君には、峰志の大事にしている印鑑を取ってきて貰いたい」
「お、おい、こんな感じでお願いされましても・・・」
文句を言ってる傍から周りを囲んだガタイのいい男達がサングラス越しでも分かる睨みを利かせた
ので言葉を切らせてしまった。
「そう、これはお願いでも無い、命令だ!」
「命令」の部分を強調するように言う。
「で、どうなんだ?やるよな?」
「やるも何もこの状態で嫌とは言えないでしょう」
この状態で「嫌です」なんて言ったら天に召される状態だな〜とつくづく思う。
「ふ、分かればいい。取って来た暁には幹部にしてやろう。」
「へへへ、そりゃありがてぇ〜」
キッと睨まれた。・・・・・・・「言葉使い悪くてスイマセン」とボソッと言った。
「言っておくが失敗や裏切りは死が待って居る事を忘れるな。」
「あの〜、一つだけお願いがあるんですが〜」
「なんだ?」
「親に毎日ちゃんと電話するように言われているんで・・・電話をしても撃たないで欲しいんです。」
「・・・・・・・・・まあ、一日一回だけならな。」
「電話に出れない時があるかもしれないので出来たら二回・・・」
キッと周りが睨んできた。
「二回・・・・まあ、いいだろう。三回目になったら容赦なく射殺するからな」
「は〜すいません。」
そうして放り出されるようにエレベーターに突っ込まれそうになる。
「あ、あの〜出来たらその印鑑って奴がどんなのか教えて貰えますか?」
「印鑑は普通の印鑑でなく見たら印鑑だがかなり高価なものだ。」
「じゃ、じゃあ、それのレプリカって出来ますか?」
「レプリカ?」
「そ、そうです!レプリカがあればもしもの時のカモフラージュになるんで・・・・」
「ふむ〜、よろしいじゃあ、明日にでも届けよう。」
「有難うござ・・・・・」
その瞬間に放り込まれたエレベーターの扉が閉まった。
印鑑か〜そんなものが盗まないと出来ないくらい大事なものなのか・・・・。
チンと音が鳴って扉が開いて外へと出ると・・・視線を感じる。
やっと監視に開放されたと思ったらまた監視が出るとはな。
とりあえずは峰志が印鑑を何処に置いているのかを探らないとな。
そう簡単に教えてくれるのか?
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