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第七捜査 酒
廃墟ビルではいつも以上に静かな気がした。
廃墟ビルの中に入ると峰志が目の前に居た。
「あ、ど、どうしたんですか!!」
驚いたのと後ろめたさとが混ざった感じだった。
「ああ、むしゃくしゃが収まらなくてな酒を飲もうと思うんだが・・・
おし、お前!付き合え!」
「え?持ち合わせ無いですよ!」と言う言葉を堪えた。
酒に酔わせて聞き出す事が出来るかも知れないからだ。
連れてこられた場所はキャバレーだ・・・・・。
「やあ!ママ!久しぶりだな!」
「まあまあ、峰志さん。お久しぶりです。」
気品溢れるママに馴れ馴れしく話し掛ける。
う〜ん、普通はどのくらいの年齢のママが居るのか知らないが・・・このママはかなり若く見える。
「こちらの方は?」
そう問われて「も」と言う言葉を懲らしめて「勝山です。」とさらりと答えた。
「勝山さんですか〜。さっさどうぞ」
そして席を勧められるままに座った。
峰志は若いキャバ嬢を両脇に抱え肩に手を回して踏ん反り返っていた。
「勝山!お前もどうだ?」
そう言って俺の言葉も聞かずにキャバ嬢達に手で合図を送り横につけた。
「ど〜も」
甘い囁きのように聞こえてくる。
この状態を美穂に見られたらきっと怒り出すだろうな〜と思いつつ少量の酒を煽る。
「おい!勝山お前も飲め!」
そう言って峰志は、飲みかけのグラスに注ぐ・・・・ラベルにはウォッカと書かれている。
「ストレート!!」と叫ぼうと峰志の方を向くともうすっかり出来上がりを超えていた。
・・・・・早!
「まあ、峰志さんはウォッカ好きなんですけどいつもストレートでお飲みになりますからね〜。
勝山さんお願いします。」
ママの甘たるい声にドキドキしながらも峰志を肩に背負った。
図体がでかいのでよろけながら歩いた。
「印鑑の置き場所は何処ですか?」
唐突に聞いて見た。
「印鑑?ああ〜」
「高価な感じの・・・」
「それなら金庫だ〜!寝るぞ〜!」
「わ〜ここで寝ないで下さい!!」
印鑑は金庫・・・・峰志のいつもいる部屋にある可能性が高いな。
峰志の住んでいるところが分からないので廃墟ビルの方へやって来た。
辺りは真っ暗で窓越しの月明かりで辛うじて分かる程度明るさだ。
峰志のいつもいる部屋の戸に手を掛けた。
かちゃりと音を立てて開いた。
電気を点けると一時目を開けていられない光に目が眩んだ。
近くにあったソファーに峰志を降ろした。
肩に掛かった重さが無くなり肩が軽くなった。
「ふ〜」とため息をつき金庫を探した。
そんなに広く無い部屋なのですぐに金庫は見つかった。
後は開け方だが・・・
そっと耳打ちするように小声で
「金庫の開け方は?」
「むにゃむにゃ、カレンダーの・・・」
カレンダー?辺りを散策して見た。
テーブルに卓識のカレンダーこれか?何か書いているのか?
カレンダーには、日にちの横に黒の点がついたものと着いてないのがある。
う〜ん、これはどういうことだ?
ふと気配を感じ俺は、カレンダーを元に戻し、峰志の上着をかけて電気を消しその場を去ることにした。
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