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第四捜査 疑心暗鬼
お腹が満腹になり、いそいそと高波さんのいつものスペースに行った。
思った通りの高級車。
高波さんは、これをどうしたんだろう?
俺はいそいそと車に入る。
運転席に座ると・・…グチャベチャ・・…。
俺は思わず車の外に出てケツが濡れてないことを確認した。
濡れては無い。
シートももちろん濡れてはいない。
……な、何なんだ?このシートは・…。
俺は仕方なくその車に乗って帰ることにした。
信号を待っていると、助手席のドアがカチャと開いた。
「いい車だね〜かっちゃん」
・……へ?
俺が助手席に向いたときにはすでにまっちゃんが席に座っていた。
「な、え?」
「どうしたの?これ?」
「や〜、知り合いの車ですけど…」
「知り合いのね〜。乗り心地いいね〜」
「いや・…それほどでも…」
シートの気持ち悪い感触に少し沈みがちになりながら・…
「かっちゃんはもっといい車に乗ってるとか?」
「いや、シートが・…」
「シート?」
「そ、シートが…」
「あ!ごめん!!ここで下ろしてくれる?」
「は?」
俺は慌てて車を路肩に止めた。
「有難う。じゃあ」
まっちゃんは、あっさりと去っていった。
・・…なんだか唐突だったな〜。
俺はそのまま自分の家に帰ることにした。
家に帰るとタイミングよく携帯が鳴った。
「はい。」
携帯に出るとテンションが高くて思わず耳を割りそうになる声が聞こえた。
「かっちゃん!!元気にしてる?」
「なんだ、結城・…。結城?」
「な〜に疑心暗鬼になってるの?」
「え?これは…」
「これ?ああ!ケー番なら高波さんに丁寧に教えて貰ったよん」
「そうですか〜」
ちょっとため息混じりになる。
「電話したのには訳があってね〜。え〜と…」
何かをごそごそしている音が聞こえる。
「あった、あった。公にはしてないんだけど…病院内で殺人事件があったんだ〜」
「殺人事件?」
「うん。しかも射殺で…だからなんか心当たりないかな?って思って…」
「なんで俺?」
「今の仕事がそれぽいんでしょ」
「それとこれとは話が違うし…」
「そうなんだ〜。由里ちゃんかわいそうだよな〜」
結城のボソリと言った言葉に俺は思わず叫ぶように結城に問いかけていた。
「由里?由里って…首を切られた?」
「え?よく知ってるね〜。そうだよ。」
脳裏にさっきまっちゃんを乗せた場所がちらつく。
田宮総合病院の近くだった。
「かっちゃん?」
「男・…男が一緒にいたよな?」
「ああ、救急車で運ばれたときね〜。
でも、由里ちゃんは・…傷が癒えてもなかなか目を覚まさなくてね〜。
彼はそれを知ってから病院に来なくなったよ。」
「……そうか。」
「かっちゃん・…誰か検討が付いたのなら・…」
俺は携帯の電源を消した。
まっちゃんに会わなきゃ、そればかりが頭によぎった。
俺の予感が当たらなければいい。
俺は扉を開けた。
扉を開けると何故か数人の人が・…その中に辰己浅史がいた。
「森山勝也!殺人容疑で逮捕する。」
腕に手錠をはめられる。
俺は、素直に行くことにした。
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