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第八捜査 退院
入院とはなんと退屈なことか・…。
「もりやまさ〜ん、お昼ごはんですよ〜」
ナースの光山さんがお膳を持ってきて慣れた手つきでちゃちゃちゃ〜って揃える。
「終わったらナースコールしてくださいね〜」
・……光山さんの笑顔で少し癒される。
飯はまずいが・…。
「やっほ〜」
そう言って入ってくる結城。
「おお!!って飯中」
「早く食え!そら食え!!」
「ひで〜それあり?」
俺は、飯を詰め込んでようやく食べ終わる。
「くぅた〜」
「よし!やろうぜ!」
セッティングばっちりのゲーム機にいざやろうとすると・…
ヴぃぃぃ〜
「あ〜これからって時に・…じゃあ、ちょっくら行ってくる」
・・……そんな〜ん。俺の安らかな食事を返せ!!
仕方なく俺は、ナースコールを鳴らしてついでに散歩でもすることにした。
すると出入りする病室を見かけた。
なにやら険しい様子で言っている。
奥から運ぶ奴を持ってきていた。
「1、2、3」
その言葉と共に運ばれる。
ふと見た顔に見覚えが・・…峰志?
まさかと思って部屋の札を見る、田中?
少し疑問を持ちつつもその場を離れた。
前から見知った顔が・…
「ま、まっちゃん」
「あ〜かっちゃん。久しぶりだね?」
平然と答える。前の怒りは消えていた。
「お前何しにここに?」
「かっちゃんは、ここに入院していたんだ〜。知らなかったな〜」
そのまま進んでいく。
俺は振り返り、まっちゃんの方へと行きながら言った。
「何しに?」
「病院なんて来るのはそんなにないだろう?」
自分が病気、怪我、もしくは見舞い?
「見舞い?」
「う〜ん。そうなるかな?あ、じゃあ急いでるから」
そう言ってエレベーターに乗り込み去って行った。
「????何???」
まっちゃんが日に日に分からなくなっているような気がした。
俺は、まっちゃんをおっかけても仕方ないか〜と思い立ち自分の部屋へと戻った。
「かっちゃん、すぐに戻るって言ったじゃん!!」
結城がぶりぶり怒ってゲームをしていた。
「意外に早かったな」
俺は所定の位置に座る。
少しして、カチャとドアが開いた。
「森山〜・……何をしているんじゃ?」
「何ってゲーム」
「そんなことをしている場合か!」
「え?どういうこと??」
「あ!そうだった!!かっちゃん今日退院ね〜」
「はぁ??聞いてないよ!!」
「・…まだ、入院したいの?」
「そうじゃないって…」
「じゃあ、用意しろ!」
そう言って、高波は着替えを渡した。
結城と高波が出ようとしたときに
「そうだ、結城ここから数室の人…」
「あ〜田中さん?」
「そう!その人は?」
「あ・…ここだけの話・…。銃で撃たれたんだよ。」
銃!!
「おい、それは…警察に言わないと!」
「マニュアルならそうなんだけどね〜。
ちょっとへんこたれの知り合いらしくてさ〜」
「へんこたれ?」
「あ!そういや、かっちゃんは会ったことあるよ!」
「?誰?」
「ほら、ちょっと迷ってたときに怒られた人」
「あ〜そういえば〜そんな人居たな〜」
「沙木沢って言うんだけどね・…もう鼻にかかるのなんのって〜」
「へ〜結城にしては珍しい発言!」
「俺でも怒るよ!で、それがどうしたの?」
「うん、田中って言うのが偽名なら知っている気がする。」
「・・…偽名・…だよ」
「はぁ?」
「いや〜保険とか関係ないなら別に構わないってわけじゃないけどね〜
一応、田中って言う病院で言う架空の名前を使っているんだよ。
ほら、太朗さんとか花子さんとかそんな感じでね〜」
「偽名か…やっぱり・…」
でも、何が起こったんだ?
「かっちゃん、分かるなら警察に…」
「いや、多分俺の方が困る気がするから泳がせといて」
「分かった。」
ヴィぃぃぃぃ
図ったようにPHSが鳴る。
「送れないけど・…」
「頑張れよ!」
結城はその言葉を聞いてにっこりと笑いながら去っていった。
「じゃあ、行こうか!高波さん」
「わしにはさっぱりだが大丈夫か?」
「多分・・…これから調べに行くよ」
「じゃあ、これ」
高波の手には車のキーがぶら下がっていた。
「どうしたの?」
「退院祝いって言っても中古で安くな〜」
「事故車とか?」
すると高波さんは少しにやけた笑いになった。
事故車ではなく……没収した車か・…。
「まあ、ありがたく使わせて貰います。」
「じゃあ、わしは仕事だから…」
「え?車ないっしょ?」
「わしにぬかりはない!じゃあな」
……高波さんの策が分からないけど…大丈夫そうだ。
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